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「Billboard JAPAN Hot 100」を深く分析する -CDセールスとルックアップ回数について-

今回はBillboard JAPAN Hot 100(BJH)における「CDセールス」と「ルックアップ回数」について深く分析していこうと思います。
 

CDセールス

その名の通り、CDが何枚売れたのかを表す数値です。実体のある商品であることからフィジカルセールスともいいます(対義 デジタルセールス)。
 
80年代、90年代においてCDの売上は流行している楽曲の指標として重要なポジションにありましたが、デジタルセールスの台頭CDセールスのみのヒットソングチャートではカバーしきれなくなってしまいました。
 
またここ最近のCDリリースで広まっている複数特典によって、CDの売上枚数が伸びてる一方、消費者はヒットソングとして認識していないという事態も発生しています。
 
そのため、BJHで本当に流行っている楽曲を調べる際にはCDセールスだけが伸びているものほど注意です。
 

CDセールスをより深く理解するためのルックアップ回数

ルックアップ回数とは、CDをiTunesなどのメディアプレーヤーで音源を読み込む際に音源のトラック情報を取得する回数を集計した数値です。
 
皆さんはCDを購入したりレンタルしたらそのCDをどうしますか?
 
購入している人はCDから直接聴いている人も多いと思いますが、レンタルした人は基本的にiTunesなどに音楽を取り込んで保存すると思います。
 
その際にインターネットを通してそのCDトラックの情報を取得していると思います。
 
トラック情報は基本的にグレースノート株式会社*1から取得します。
 
グレースノート株式会社はその取得された回数をBillboard JAPANに提供しているわけです。
 
このルックアップ回数は単体ではピンと来ませんが、セールスとルックアップ回数の順位の大小を比べると興味深い結果が見えてきます。
 

CDセールス順位>ルックアップ回数順位

CDセールスの順位がルックアップ回数の順位より大きくなればなるほど1人で同一作品を複数購入している可能性が大きくなります。
 
この現象は同一作品でも複数購入することで得られる利益が大きい場合に発生します。
 
よくあるタイプとして、握手券やハイタッチ券などの接触タイプのイベントや、イベントチケットの参加券、複数購入で得られる特典などのおよそ特典がメインで、まるで音源が付属品のような扱いがされているCDが該当します。
 
1人で複数購入すると、メディアプレーヤーに読み込む回数は一度で十分であるためCDセールスに対して当然にルックアップ数が少なくなるわけです。
 
この現象が発生している楽曲の多くはお世辞にも世間で流行っているとは言い難いものである可能性が高いと言えます。
 

CDセールス順位<ルックアップ回数順位

ルックアップ回数順位がCDセールス順位を上回る原因は主に2つあります。
  1. レンタルショップでCDをレンタルしている人が多い
  2. CDを購入した友人からそのCDを借りている人が多い
 
その他にも中古CDの購入者が多いなどの理由もありますが、要するに新品のCDをCDショップで購入せずにそのCDを入手してメディアプレーヤーに取り込んでいる人が多いとルックアップ回数順位がCDセールスを上回ることがあります。
 
特にデータとして反映されやすいのはレンタルCDです。
 
レンタルCDシングルの場合CD発売日初日から、アルバム発売日の3週間後からレンタルが開始されます。
 
シングルのレンタル開始日は初日からなので人気のアーティストの場合は2週3週と経過するとCDセールスが落ちてもレンタルが生き残っているため、セールス<ルックアップ回数になることが多いです。
 
アルバムは発売から3週間後にレンタルが解禁されるため、ルックアップ回数も1週目が高く、2週目で落ちて3週目に好転するという現象がよくあります。
 
セールス<ルックアップ回数であると、アーティストとして売上の面からするとデメリットとなりますが、楽曲が広く聴かれているということになるため、ファン層も実際に楽曲を聴いている人も広がる可能性が高いと言えます。
 
ルックアップ回数というデータ日本のレンタルCDという海外にない独自の音楽業界の事情を考慮して集計されていると言えます。
 

CDセールスとBJH

どのようなポイント換算方法を採用しているのかはわかりませんが、CDセールスで初週15万枚を売り上げるとBJHで首位を取得できる可能性が高い気がします。
 
15万枚という数字は普通のアーティストだとかなり厳しい数字ですが、複数の特典であると割と普通に超えてきます。そして複数特典のシングルリリースがある週のBJHの首位は大体そのグループの楽曲です。
 
しかしCDセールスのみでBJHの上位にチャートインした楽曲は、基本的に次週ではチャート転落します。
 
ひどい時は圏外まで吹っ飛びます。
 
グループ名のPRといえば聞こえはいいですが、台風のごとく去っていくので、人によっては不快に感じるかもしれません。
 
これがCDセールスの一過性という特徴の正体です。
 
そもそもCDは基本的に一度買えばそれで終わりです。
 
チャートもその一度の購入のみを反映するだけですから、そのCD音源を何回再生するかどうかはチャートに全く影響しないわけです。
 
その一度の購入が例えば初日に集中すれば初日のチャートが伸びるだけで後日のチャートで伸びなくなるのは当然のことです。
 
つまりCDセールスというデータは元来、一過性という特徴を持ち合わせているのです。それが不人気のグループだとより顕著に現れます。
 
そこで、同一CDに別種の特典を定期的に付与して無理やりCDセールスに継続性を持たせることもできますが、このような商法はかなり悪どいですし、ほぼ100%世間から嫌われます。良いことありません。
 
ここで何が言いたいのかというと、CDセールスだけではロングヒットを狙うことは到底できないということです。
 
ロングヒットを狙うには、後日投稿する「継続性」の性質をもつデータを伸ばす必要があります。
 
次回は一過性の特徴を持つデータ「ダウンロード回数」について解説します。